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『中医学』 ちょっと難しい東洋医学の考え方 心
2025-06-13健康情報
加世田 KASEDA
中医学において「心(しん)」は、西洋医学でいう心臓の循環機能だけでなく、精神活動や意識、思考といった脳の機能も含む、非常に広範な概念です。五臓の中でも特に重要な臓器とされており、全身の臓腑機能の原動力と考えられています。
中医学の「心」には、主に以下の2つの重要な働きがあります。
1. 血脈を主る(けつみゃくをつかさどる):
o これは西洋医学の心臓のポンプ作用に近く、血液を全身に送り出し、血管の状態を管理する働きを指します。
o 心は「血(けつ)」を血管の中に通して、全身に運ぶ役割を担っています。血液が全身に行き渡ることで、体中の臓器や組織に栄養が届き、体温も保たれます。
o この働きが低下すると、動悸、息切れ、不整脈、胸痛、頭痛、手足の冷えなどの症状が現れることがあります。
2. 神志(しんし)を主る(しんしをつかさどる):
o 「神(しん)」とは、生命活動や精神活動全般を指す言葉で、意識、感情、思考、判断、記憶といった高度な精神活動をコントロールする働きです。
o 心は精神の安定、記憶力、集中力、そして質の良い睡眠に深く関わっています。
o この働きが低下すると、不眠、多夢、不安感、落ち着きのなさ、物忘れ、思考力・判断力の低下などの精神的な症状が現れることがあります。重度になると、意識混濁や運動機能の失調が見られる場合もあります。
「心」の状態が体に現れるサイン:
• 顔色: 心の状態は顔色に現れるとされ、心が正常に働くと顔色が良く、明るい表情になります。
• 舌: 舌にも心の状態が現れ、味覚障害やろれつが回りにくいなどの症状が起こることがあります。
• 汗: 心の状態が悪くなると、じっとしていても汗をかいたり、少し動くとひどく汗が出たりすることがあります。
• 感情: 心は「喜(き)」の感情と関係しています。過度な喜びは興奮状態を引き起こし、心の不調につながることもありますが、適度な喜びやポジティブな感情は心の働きを安定させると考えられています。
「心」の養生(ケア):
• 休息をしっかり取る: 心のエネルギー不足(心気虚)を防ぐために、十分な休息が必要です。
• 体を温める: 冷えは心の働きを低下させるため、体を温める食事や生活習慣を心がけます。
• 深い呼吸を意識する: ゆっくり深く息を吐くことで、自律神経が安定し、心の熱を鎮める効果があります。
• 適度な苦味を取り入れる: ゴーヤ、緑茶、セロリなど、適度な苦味を持つ食材は、心の熱を冷ますと考えられています。
• ストレス発散: 適度な運動や趣味などでストレスを発散し、精神的な安定を図ることが重要です。
中医学では、西洋医学のように特定の臓器の機能だけでなく、それらが体全体や精神活動にどのように影響するかを総合的に捉え、バランスを整えることを重視しています。
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