やばい（° Δ °；）ヤバいヤバイやばい

立ち上がるのをあきらめて、席に座り直します。
腕時計を見ると、19:50。

（ダメだ......この右足で、90分掛けて帰宅するのは無理だ！）

すごい勢いでカウントダウンして減ってゆく、時限爆弾のカウンターのイメージが、再度よみがえります。

（よし。家に電話して、脳梗塞発症の事を伝えて、救急車で渋谷駅近くの脳外ある病院に行くことを伝えよう）

愛用の肩掛け通勤カバンを肩にかけ、左腕で机にしがみつき、左足の力だけで立ち上がります。
（座る時は、どうやって座ったっけ？入店時は正常で、退店時は右半身麻痺かい！）
どうでも良い事に皮肉を感じながら、出口に向かいます。
右足はただ、立って居るのが精一杯なので、思いっ切り足を引きずります。
店員さんのけげんな視線も、どうでもいい。

「本家しぶそば」を出た所で、左足だけで立ちすくみます。
（救急車を呼んでもらうには......）
東急ビルのサービスカウンターは知りません
渋谷駅は......
（みどりの窓口か！）

しかしここは二階。みどりの窓口にたどり着くには、左手すぐの階段を降りねばなりません。しかし、降りてすぐ※です。
※（2016年8月当時）
（エスカレーターは二階の反対側......仕方ない、カニ歩きでゆっくり降りよう！）

階段の左手壁の手すりに、左手でしっかり捕まりながら、身体は壁に向け、カニ歩きで一歩一歩ゆっくり降ります。
いつもは数十秒で降りてしまえるのに......

　やっと降りて、みどりの窓口が見えて、腕時計を見ると20:00。
先に自宅に電話をせねばなりません。

　かなり早足で歩く乗降客達の大波に、突き飛ばされ無い様に、
みどりの窓口とは反対方向の駅出入口から、駅外に出ます。

2020年現在の、新みどりの窓口の工事現場の人気の無い工事フェンスの前まで移動しました。

愛用のガラケーを取り出し、自宅に掛けます。
『はい、もしもし』
母が出ました。
「かぁりゃ......」
！けっこうロレツが回らなくなって来ています！急がないと！
「母さん。しっかりゅい、聞いてね。おりゅれ、たった今脳梗塞になっらった。90ふゅんかけて家に帰れりゃい」
『ええっ！？そうなのね！』
「いま渋びゅ......渋谷駅。駅のみどりの窓口に、いみゅから駆け込んで救急車......呼んでもりゃう『妻』にも伝ゆて」
『......わかったは、どこの病院になりそう？』
（親父の事で経験済みですので、話が早い）
「......どこの病院かはわからにゃ......い。病院に着いたら、病院から家に連絡してもりゃうよ」
『わかった。気を付けてね！』

20:10。
さてと、みどりの窓口に、向かいます。


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